被災地において水とトイレの確保を行うにあたり、内閣府が作成した阪神大震災の教訓・失敗の資料集が参考になると思いました。この資料集の一部を抜粋し、まとめました。
内閣府「阪神・淡路大震災教訓情報資料集」2000年。
http://www.bousai.go.jp/1info/kyoukun/hanshin_awaji/about/index.html
震災初期に注意すべき点については、こちらをご覧ください。
【東北地方太平洋沖地震】阪神大震災の教訓と失敗まとめ1(初動72時間を中心として)
http://okneige.com/weblog/2011/03/72.html
水の確保
- ★給水を受けた日付を書く
★古い水は生活用水に使い飲用しない
★ミネラルウォーターを除き生水は飲まない
★ポリタンクや容器が汚れている場合もあるので、できるだけ水は沸騰させて飲むこと - 給水を受けても、ペットボトルや鍋・やかん等の少量容器しかもちあわせておらず、十分に水を持ち帰ることができないケースが多かった。
- 「ポリタンク一杯の水は比較的重く、かつ、エレベーターが不通ということで、水の運搬は大変だった。...マンションの上層階に住んでいるお年よりは特に困っていた」
- ふだんは使われていない井戸水や、破損した水道管から流出する水も利用されたが、細菌等による汚染懸念あり
- 明石市では地震対策に整備されていた飲料水袋詰め装置を使い、1リットル詰め飲料水を生産することにより、比較的公平にかつ迅速に応急給水を実施できた。
- 神戸市では応急給水に関する水質監視が行われ、当初の検査項目は現地における遊離残留塩素、色、濁り、外観であった。
- 「水が無いときは、倒壊家屋から水が漏れているところを探し、汲んで使ったこともあった。水は、料理と朝の歯磨きだけに使うことにした。飲料には、水代わりに商店街の酒屋にあったビールばかりを飲んでいた。女性は、ビールだとトイレが近くなって困るので日本酒だったが、おかげでアルコール中毒気味になってしまった」
トイレの確保とし尿処理
- 新聞紙の上で用を足し、ビニール袋に入れ、ゴミ袋に捨てる方法を取ったケースが多かったが、避難所に汚物のビニール袋の山ができてしまった。
- ★プールや川、池の水をバケツリレーで運び、トイレの前の大きなポリバケツにため、ひしゃくで小さなバケツに移し替えて流すなどの工夫をこらしてトイレを確保した。
- 水運びの重労働が原因で体を壊した被災者は少なくなく、大量のトイレ用水を確保するためにボランティアの支援が役立った。
- 神戸市では仮設トイレの設置目標を順次高め、当初は避難者150人に1基、次いで100人に1基を目標にした。100人に1基行き渡った段階で設置についての苦情はかなり減り、75人に1基達成できた段階では苦情が殆どなくなった。
- ★仮設トイレの使用法に関するチラシが作成・配布され、混乱をおさえるのに有効だった。
- 仮設トイレの普及にともない市有バキューム車が不足。バキューム車を所有する神戸水質保全協同組合では、ほとんどの業者が被災してし尿収集にあたることが困難であったため、全国環境整備事業協同組合連合会や他都市の支援を受けた。すべての仮設トイレの設置場所の把握は困難だったこともあり、苦情も多かった。
- 水洗トイレしか知らない市民には仮設トイレの正しい使用方法がわからず、汚物が少しでもたまるとバキューム車を申告をしてくる状態であった。
- 神戸市では効率的な収集作業を行うべく、緊急措置として、下水処理場にし尿を直接投入した。
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