2013年5月アーカイブ


書店でたまたま目にとまったので読んでみた。

真面目に頑張っているのに、なぜか報われない」と思っている人や、
不平不満ばかり言う人が、どういうプロセスで、そういう心理に向かうのかを、
生い立ちの影響から説明している。

けっこう分析的な記述が多く、原因を幼児期にまでさかのぼって深く掘り下げていくので、
タイトルのように心が休まるというより、読んでいて暗くなってくる感じはあった。
しかし、こうした問題の根は深いし、実際には心理カウンセラーのようなプロフェッショナルも、
痛くとも原因を突き止めなければ、気休めや対処療法では解決できない問題なのだろう。

客観的に分析するためのツールとして考えれば、けっこう参考になると思う。

参考になった記述は以下。
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甘えの欲求があると傷付きやすい
甘えたがるのは子だけではない。親も子に甘えたがり、感謝されないと不機嫌になる
心の底に憎しみが蓄積している
憎しみが限界を超えるとうつになる

愛情飢餓感がマイナス発想の原点
自分を認めてもらいたくて、無理をする
人に甘えを求める

マイナス発想で文句がつきない人に、提案は逆効果。
彼らは認められたい。同情と賞賛が欲しい。

しかしそれで状況は変わらない。

人の行為に執着するのが幼児的願望であることに気付くのが大事
幸せを認めたら愛を求められなくなる気がする
だから幸せをなかなか幸せを認められない
不幸にしがみついて周囲の人に責任をとってもらいたい

年寄りは脳が若くないので気力もなくなってくる

うつの3つの心理
1.自分から行動を起こせない 受動生 受け身の願望
2.消極的見通し  人になにかをやってほしい 苦しみを訴えるだけで解決を考えない
3.無力感  何をやっても楽しめない

生きることに疲れた人が臨むのは幼児のように愛されること。
努力しないで幸せになる方法を求めている。
分から這い上がろうとする意志はもうない。

■対処法
1.心の底にたまったうらみを吐き出せ
自分の失敗をありのままに話す
日記に書く
心の中をありのままに書く
憎たらしいことは、憎らしいと書く
うっ積した感情を吐き出す
疲れたときは幸運へのターニングポイントでもある

2.ノイローゼにならない人は、自分の城を心の中に持っている
会いたいひとにあう
他人ではなく、自分から自分を認めてあげる






 

中西寛, 石田淳, 田所昌幸(著) 『国際政治学』 

国際政治学会の中核となる先生方3名による新たな教科書。 この分野は『国際紛争』がしばらく独走状態だったが、有斐閣の本気を感じる一冊。 3名の専門とする研究分野について、全7章に凝縮して濃い記述が見られる。 ゲーム理論と国際政治経済への記述が濃いのは、同様の書籍と違って珍しい。


   

久保慶一・河野勝編『民主化と選挙の比較政治学』 
田中(坂部)有佳子「紛争後社会における反政府勢力の政治参加と暴力」 
紛争後、時間が経過すると民主主義が自己拘束的になって紛争リスク抑止に繋がるということを実証分析。停戦・和平後に民主化に乗り出す最初の段階が、まさに紛争リスクの高いクリティカルなポイントなのであって、そこをどう乗り切るかが知りたい。

   

 柳澤協二『検証 官邸のイラク戦争――元防衛官僚による批判と自省』 

小泉首相のイラク戦争についての官邸の動き方は意思決定プロセスでなく、意思「実行」プロセスであった。 官僚は最後の判断を小泉総理に委ねていた。アメリカを「支持」するとかなり前のめりの表現をしたのは小泉総理の政治的勘で、その過程で悩んでいたのかどうか、決して官邸の誰にも漏らすことはなかった。


   

下村 恭民, 大橋 英夫 (編)『中国の対外援助』 

OECD/DACの枠にとらわれず、国際的には「異質」と言える中国の援助政策に関して、現場の実状に即して、研究者および実務家による共同研究の成果。ODAの教科書としてロングセラーになっている『開発援助の経済学―共生の世界と日本のODA』の執筆陣である下村先生や旧JBIC出身の辻一人先生が執筆。また、東アジアの開発経験に強い関心をもつエチオピアのメレス首相の要請をうけて、ハイレベルの産業政策対話に参画しているGRIPSの大野泉先生や、JICA研究所のリサーチャーも執筆しており、この分野の関係者にとって、まことに有益な一冊となっている。

   

折田正樹(著)・服部龍二, 白鳥潤一郎(編)『外交証言録 湾岸戦争・普天間問題・イラク戦争』 

安保理常任理事国入りを目指していたときのヨーロッパの話があったので、ひとまず立ち読み。ヨーロッパがばらばらだったとあって、まぁP5もいればコーヒークラブもいたのが当時の「ヨーロッパ」なので、それぞれ各国本省と話を詰めようにも、なかなか大変だったろうなぁ。

折田先生は2011年頃までは日本紛争予防センター(JCCP)の理事を務めておられたかと思うけれど、いまJCCPのウェブサイト見てみたら理事から外れられていた。中央大学教授も、この3月で退官されたようなので、辞めてしまったのだろうか。ちなみにJCCPで長年、会長を務められた明石康氏が顧問になっておられるのも、はじめて気付いた。
ほとんど検索エンジン経由で、しかもWifi設定がらみの記事に一見さんのアクセスが集中するばかりのこのブログですが、久しぶりに時間ができたので本の備忘録を書き始めてみたり、いろいろ試行錯誤しながらやっております。

どなたが読まれているか分かりませんが、備忘録を世界中どこでもネット環境さえあれば読めるようにしたいという、ただそれだけの理由でぼちぼち続けていて、また考えが変わるかもしれませんが、しばらくはこの調子だと思います。


NHK教育(Eテレ)2013年5月4日「SWITCHインタビュー 達人達(たち)小山薫堂×佐藤可士和」
http://www4.nhk.or.jp/switch-int/

「もったいない」がモットーで貧乏性の小山と、そぎ落とす「整理」が信条の佐藤。
真逆のアプローチながら、日本を代表するトップクリエイターの二人が、
お互いの仕事場を訪ね合って、企画の極意を探り合う。

とても豪華で、刺激的なインタビューでした!

メモ書きは以下のとおり。
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▼小山薫堂のアプローチ

もったいないを、もったいなくする
e.g. 下鴨茶寮
最近、小山が経営を引き継いだ京都の老舗料亭。
客にもったいないものを聞くと、エアコンの室外機が庭に出てたとか、
あぁもったいないというポイントが指摘された。こういうのを一つ一つ改善していく。

自分流に変える、和える(あえる)
e.g. 料亭で一鉢を食べてすぐ一筆したためる企画 with 武田双雲

ものは捨てない
事務所も一見無駄に見える遊び心のあるもので雑然としている
その雑然とした偶然性のなかから企画が生み出される

企画のきっかけは奨学生のときの誕生日会。
まったく同じ誕生日で、親の仕事も美容師で一緒という同級生がいた。
どうやったら自分の誕生日会の方に来てくれるか?
そのために考え始めたのが、小山の企画の原点。


▼佐藤可士和のアプローチ

情報の「整理」というデザイン
徹底的にシンプルに。
マジックなどあまり使わない文房具は共有。個人で持たず、バックヤードに隠す。
几帳面な人しか採用しない

打ち合わせは手ぶら 
メモも取らない。一番大事なことだけ覚えて帰る。

e.g. セブンイレブンブランディングプロジェクト
当時はさきいかでも弁当でも文房具でも、マークや位置、デザインもバラバラ。
流通の競争に勝つために過剰なデザインになる
箱ティッシュなど家の中の雑貨はシンプルでよい 

整理はエンターテイメント
小3のときにガキ大将が物を整理してた オトナっぽくてかっこよかった


▼柳井正が語る佐藤可士和
自分たちの思いは、なかなか見えにくい。それを表現してくれた。
佐藤は本質をつかむ力が圧倒的に強い
きっちりしないと気が済まないあたりは似ている


▼企画のアプローチ
(佐藤可士和)
問診をしてあげる
経営者はすごいことを既に考えている
それを純化してみせてあげる

答えは相手の中にある by 佐藤
これは経営者には刺さりますね。by 小山

会長発注の多い佐藤
調整に追われずクリエイティブに専念するために、ジャッジをできる人としか仕事しない 
調整ばっかりでカオスになることを会社員時代にイヤというほど経験してきた

アイデアは化学反応 by 小山
摩擦があって爆発するもの
やりたい人がやるように体質を改善しあげて、その人が何かに気づく


e.g. 今治タオル by 佐藤
瀕死の重症で予算もない 縁もゆかりもない タオルのことを考えたこともなかった
すべてのファクターが遠かった

しかし、タオルを使ってみたらクオリティのよさにびっくりした

もともとあるものを磨く
品質が軸でブランディングできると考えた
水に沈むと5秒以内に沈むことを5秒ルールとして生産者自身が制限を課した
ブランド管理についても執行部が徹底してくれた

日本を世界にプレゼンテーションする仕事 cf. ユニクロ、今治

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